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戴冠式後の小話
投稿日 : 2016/06/24(Fri) 18:30
投稿者 夜羽
参照先
エカチェリーナの戴冠式。
その毅然とした態度と、”パトリオット”のフラッグ顕現にその場に居た領民は沸いた。

そして、改めて女王となったエカチェリーナは謁見の間へと戻り玉座に座る。

矢継ぎ早にその場にいる各人に指示を出していく。
任務を与えられ皆次々に謁見の間から出て行った。

そして残ったのは……エカチェリーナとエレノアの二人。

「 お疲れ様でございます、姫様……いえ、違いますね。
  今はエカチェリーナ女王様ですか 」

最早鉄面皮とも言える程変わらない表情でエレノアが言う。
それに対して、エカチェリーナは疲れたような、困ったような表情をして返す。

「 まったく、意地が悪いなエレノアは。
  こういう人心掌握に関してはお前の方が得意なはずだろう…… 」
「 女王となったからには当然やってもらわなければならないことです。
  それに、私では間違いなくあのフラッグを顕現させることは出来ません。
  打算や欲望が強すぎますので 」
「 打算はともかく、欲望はどうなんだ……メサイアの言うことではと思うのだが 」

話術や情報収集が得意と言うと、普通はメイジが挙がる。だが、エレノアはそうではない。
彼女は、前王から従属聖印を渡されたロードである。
それも何故か、その手に持つは救世の聖印。

「 私自身、なぜこの聖印なのか分かりかねます。
  どちらかと言えばルーラーの方が向いていた気がするのですが 」
「 …………違いない 」
「 しかし、本当に良かったのですか? 」
「 何がだ? 」

急に話の向きが変わったことに疑問を持った女王。

「 私の聖印を従属にしなくても 」
「 ああ、それか。しない方が良いと私は判断した 」

何となしに良い表情で即答する女王。
エレノアはそれを見た瞬間、何か企んでるであろうことは瞬時に察知した。

「 私の従属であるより、一人のロードとしての方が色々と小回りも効くしな。
  万が一のことも考えるとこれが一番だ 」
「 その万が一が起こるのだけは絶対に避けたいのですけど 」
「 その事だけではない。ムルマンスクだけでなく、他領にも私の従者としてでなく
  一人のロードとしてなら派遣もしやすいからな 」
「 ……確かに、その方がそれ相応に扱っていただけるので私も助かりますが 」

姫の従者であることは、良い方にも悪い方にも転ぶ。
故にエレノアは、自衛の手段も身に着けていた。
女王は戦いはなるべくなら避ける傾向にあるが、エレノアは違う。
必要な戦いなら自ら仕掛ける。最もそれは主に精神的な方向にであるが。
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戴冠式後の小話(2)
投稿日 : 2016/06/24(Fri) 18:31
投稿者 夜羽
参照先
「 エレノア 」
「 はい 」
「 資料室を貸してくれ。どうも私は知らねばならないことが色々あると思う 」

女王の言葉にエレノアは困惑した。
彼女の資料室はそれこそ一国のものとは思えないレベルの資料が集まっている。
女王からの頼みとなると断れないが……

「 ……女王、一応御覚悟を 」
「 何がだ? 」
「 多分、必要と思う情報を吟味するだけで一週間くらいはかかると思いますので 」
「 待て。お前どれだけ集めてるんだ 」
「 行けば分かると思います 」

そう言ってエレノアは自室の資料室へと案内した。



その後女王が『 しばらく資料は見たくない…… 』と呟いていたのは言うまでもなかったお話。
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