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胸に宿るは
投稿日 : 2016/05/02(Mon) 00:51
投稿者 stephanny
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身支度を終え、ルフェリットは静かに佇む。

彼は今、自らも感じたことのない勇気に満ちあふれていた。
それは彼に備わっていないもの。
何故ならば彼はペルミの主。
彼の脳裏にあるはこの身に非ず置いてきた街の事。

清濁併せのむ 嘘の中に真が 真の中に嘘のある 商人たち
その事実 物 人の裏に潜む影の者たち
混沌とした事象をまとめあげる官吏
混沌の果ては暴力を司る 立場に則る力

全てをペルミの街においてきた事は彼に一つの確信を抱かせる。
何も変わらない。
街は受け入れる。

そしてその主は自分自身であるということ。
自らにない力も、ペルミの領主であれば手に出来る。

それが自らの真実に由来する、勇者としての勇気でなくても、
勇気というものである今であること。
受け入れる勇気 それを彼は今実感している。

今までも分かってはいた だが、迫り来る不安の群れに自らの理屈はまだ力を得ていなかった。
事実不安であった。何故ならば彼は今あるものを愛していた。
ペルミの一年間を愛していた。
過去を失ってしまう事の恐怖からは誰も、逃れられない。

だがそれを上回る勇気、それを彼は感じている。
街は変わらない それは強いものだからだ。
どんな形になろうと、街は存在する。
たとえ失われようと、人ある限り何処かに復活する。

不安の中にある彼を支えるのは彼を包み込む、置いてきた街。
彼が愛した街、それが彼を愛している。
いや、受け入れる存在そのものが愛なのだと。
受け入れるということが流れてくる。
勇気を持たぬものには勇気を与えてくれる。
自らはその愛の主であると。
往ける、どんな混沌の果てでも。
それを受け入れるために。
不動にして流動 その勇気を糧に。

畏れない 全ては存在という中で等しい
恐れない 全ては全時間軸の中で等しい
怖れない 全ては何かの愛の中で等しい
そしてすべてがここから始まる
有から無に 無から有に
停滞も流動も、常に生まれている
そして

再び新しい世界が広まるのだ――――
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